「代官山、私服、定時に誰も帰らない」──ベンチャー初日の衝撃

2013年6月。

1社目の会社を退職して、福島から東京へ出てきた。

職場は代官山。住まいは渋谷。

いかにも今っぽい、創業間もないITベンチャー。

正直、テンションはめちゃくちゃ上がってた。

「やっば、めっちゃキラキラしてるやん!」って思ったのを覚えてる。

目次

「やっといて〜」の衝撃。え、何も知らんけど?笑

初出勤の日、会社の皆さんと挨拶を交わす。

みんな若い。服装は当然のように私服。
そして、会社では靴を脱ぐスタイル──。

今まで工場勤務で、毎日決まった作業着を着ていた身としては、
もう何もかもが新鮮すぎた。

「あぁ〜、こんな会社でこれから働けるのか〜」

そう思ってワクワクしてた。

配属は管理部。
CFOの上司、総務の男性、パートの女性。
僕が加わって、計4人。

さて、いよいよ業務スタート。
PCを受け取って、ログインや初期設定を済ませる。

「まずは何から始めるのかな?」
希望していた経理業務だし、色々学べそうで楽しみだな〜

……そう思っていたけど、なんか様子がちょっとおかしい。

上司:「これとこれとこれ、やっといて〜」
僕:「はい!(…え?やっといて??)」

やっといて……???

いや、やり方知らんけど?笑
会社の経理、初めてなんやけど??笑
これまでやってたの、工場経理だけやけど???笑
会計システムの使い方?……知らんけど!?笑

このとき、初めて気づいた。

「新卒×大手企業」って、めちゃくちゃ手取り足取り教えてくれて、
研修も丁寧で、正直めっちゃ手厚かったんやな……と。

でも「既卒×ベンチャー」って、

もしかして最初からある程度“できる前提”で動くのが普通?
教えてもらえると思ってたの、ちょっと甘かった感じ……?

……そう、その通りやった。

もちろん最低限の説明はあるけど、
基本は「自分で考えて、自分で動く」。

それが当たり前の世界だった。

救ってくれたのは、パート女性だった

「もしかして、これは結構とんでもない場所に来てしまったかも…?」

初日からそう思ったのを、今でもよく覚えてる。

とはいえ、逃げるわけにもいかない。
なんとか自分で調べながら進めてみる。

でも正直、それまで“調べて自分で解決する”っていう働き方に慣れていなかった。

基本は「上司に聞く」スタイルやったから、そのギャップにはめちゃくちゃ戸惑った。

結果的に、最初のうちはパートの女性にいろいろ教えてもらいながら、なんとか仕事をこなしていた。

この方がいなかったら、たぶん普通に心折れてたと思う笑
本当に、いろいろ助けてもらった。

「楽しんで働いてる人たち」へのカルチャーショック

そして18時。定時。

……誰も帰らない。

まあ、覚悟はしてたつもりだけど、やっぱり残業あるよね笑

前職では、定時で帰ることも多かったし、
月20時間以上の残業には上司の承認が必要だったはず。

この会社、全然違うやん笑

でも、もっと驚いたのはそこじゃない。

みんな残業してるのに、なんか苦しそうじゃない。
むしろ笑ってる。自分から進んで仕事してるように見える。

え、ちょっと待って?
これって……楽しんでるの?
仕事を、楽しんでる……?

「仕事って、大変なもので、
お金を稼ぐために我慢してやるものじゃないの?」

そう思い込んでいた自分にとって、これは本当にカルチャーショックだった。

夜は、歓迎会を開いてもらった。
たしか恵比寿だったと思う。

代官山で働いて、恵比寿で歓迎会してもらって、渋谷の家に帰る。

字面だけ見ると、なんかすごい笑
ちょっと現実味がないくらい、キラキラした環境。

けど、自分の中ではいろんな気持ちがごちゃまぜになっていた。

不安、焦り、期待、興奮。
“仕事”というものに対する常識が、音を立てて崩れていくような感覚。

そんな、人生が大きく動き出した入社初日だった。

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